胎児の外科手術について

診断技術が進歩して、従来ではできなかった手術も可能になってきました。3Dエコーによって、胎児の病気や形がはっきりとわかります。治療も著しい発達を遂げてきました。なお、母体との関係など、リスクは残っています。しかし、先進医療に適した領域です。
尿路閉塞に対するカテーテル留置
胎児への先進医療として、まず最初のものは『胎児尿路・羊水腔シャント術』でした。尿路がつまりおしっこができない胎児の状態を超音波で確認しながら、尿路代替にカテーテルを留置する手術です。
妊娠後期の羊水は、胎児の尿排泄でリサイクルされるのです。従って、尿がでないと羊水が減少して、結果として胎児の発育が阻害されるのです。それを改善するために、母体から内視鏡をいれ、胎児の膀胱と子宮内を繋ぐ手術をするのです。
最近は、『胎児胸腔・羊水腔シャントチューブ留置術』も先進医療で認められています。肺に溜まった水を抜くことが目的です。カテーテルを胸に設置して胸水を抜くのです。出生後生存率は、30〜60%に上昇しています。
この手術の実施施設は、国立循環器病センターなど3、胸腔シャント術の実施施設は、国立成育医療センターなど7施設です。
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双胎児を救うレーザー焼灼術
一卵性双生児には、5〜10%で『双胎間輸血症候群』が発症します。ひとつの胎盤を共有するため胎盤内の血管がつながって、胎児の間の血流量がアンバランスになるのです。少ない胎児は、発育不全が生じます。血流過剰だと、高血圧・羊水過多、心不全が起こるのです。
従来の対処法は、羊水を抜くくらいでした。1児が助かる確率が6割で、生存しても25%には脳神経障害が残ったのです。この症状に最近は、先進医療としての『内視鏡的胎盤吻合血管レーザー焼灼術』が行われます。
超音波で胎児の位置を確認し、胎児に胎児鏡を差し込み吻合血管を観察して、レーザーで焼灼するのです。この方法で胎児の血液循環が完全に独立します。これは、根本的な解決方法で、1児の生存確率は90%以上、双方とも助かる確率は65%まであがります。
国立成育医療センターなど、5施設で実施されます。費用は、48万円です。その他費用は、入院日数で変動します。
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