重粒子線治療の特徴や効果について

先進医療では、最近は「重粒子線治療/陽子線治療」が思い浮かぶでしょう。数年前までは、放射線医学研究所附属病院(千葉県)のみで行われてきた治療です。2011年現在では、この施設は国内3ヶ所、陽子線治療施設は9ヶ所稼動しています。
体の深部に集中照射
重粒子線は、原子核をイオン化し加速させたビームのことです。『重粒子線治療』で用いられるのは、炭素イオンです。放射線と粒子線は何が違うかというと、体の中での進み方に差があります。放射線を体外から照射すると、線量は表面で最大、患部ではその減少したものが使われます。
重粒子線は、深層部(患部)で最大になり、その後急激に低下します。従って粒子線は、正常な細胞にダメージを最小限に抑えて、癌組織に集中的に照射して治療するのです。第2項先進医療としての適応は、血液癌や広範な転移がんを除く「限局性固形癌」です。
不得意分野としては、胃癌や大腸癌等、運動している臓器への照射がしにくいのです。動かない臓器、脳、頭顎部などの肩から上の癌、肺癌、肝癌、前立腺癌、骨肉腫、小児癌などでは結果は良好です。
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粒子線治療は赤字経営
粒子線の治療機械は、加速器だけでサッカー場がすっぽり入る面積が必要です。最近、テニスコート並みの加速装置が開発され、粒子線治療施設の建設ラッシュが起こったほどです。現在12ヶ所の施設が稼動しています。さらに、建設計画中の施設が8ヶ所あります。日本は、「粒子線治療大国」と呼ばれているのです。
ただし、この施設は、建設費用だけで100億円以上、年間維持費は15〜20億円に達します。計画凍結施設も出始めています。稼働中の施設でも赤字経営です。不安要素には、間違いありません。
粒子線治療の自己負担は、300万円ほどです。高額にもかかわらず、年間500名以上の患者が採算を合わせるためには必要です。患者獲得に、日本だけでなく、中国・東南アジアの患者を獲得する動きがあります。
この重粒子線治療は、『夢のがん治療』といわれました。しかしながら、経営の維持ができるのか・・岐路に立たされています。
粒子線はその特徴から、正常な組織や臓器にダメージを少なくして、集中して癌組織に照射することができる。
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