医療機能評価の取り組みや指針について

国民が適切で質の高い医療を受けることができることは、医療を受ける立場、提供する立場のいずれもが望んでいることです。現在、公益財団法人・日本医療機能評価機構が、信頼できる医療の確保と質の向上をになっているのです。
中立的な評価について
公益財団法人・日本医療機能評価機構(JCQHC,以下「機構」と略す)は1996年に、政府の肝入りで設立されたものです。医療機関の機能を、学術的観点から中立的な立場で評価して、問題点が明らかになります。問題点の改善を支援する第三者機関なのです。
その時まで、日本には、病院の機能を公に審査する機関はありませんでした。病院は質的ばらつきがありました。各病院の機能を評価して、医療サービスを向上させるための第三者機関が必要でした。そこで、この機構の設立となったのです。これは、アメリカの医療施設認定合同組織(JCAHO)がモデルになっています。
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機構の役割は、6つです。病院機能評価事業」「認定病院患者安全推進事業」「産科医療補償制度運営事業」「EBM医療情報事業(Minds)」「医療事故情報収集等事業」「薬局ヒヤリハット事例収集・分析事業」です。
この目的は、別の言葉では「医療機関が質の高いサービスを提供しているか」「安全対策の確立はなされているか」「病院運営は適切か」などについて、中立的立場から評価して、指導を行っています。それが機構なのです。
病院の通知表
機構は、病院の認定業務を行っています。認定証は、患者への安心の証明書であり、言い換えれば、『病院の通知表』です。病院はこの証明書を受けるには、機構の審査が必要です。機構は、申請が出された病院について7項目の審査を行います。
『病院組織の運営と地域における役割』、『患者の権利と医療の質および安全の確保』、『環境療養と患者サービス』、『医療提供の組織と運営(診療体制の確立と各部門の管理)』、『医療の質と安全のためのケアプロセス』、『病院運営管理の合理性』、『療養病床に特有な病院機能』これらの審査に合格した病院には、認定証が交付されます。
患者の利益を保護する上では、この制度は有効なものです。しかし、最近は認定証を得ようとする病院は少なくなってきています。理由は認定証の取得は、直接病院のメリットが少ないこと、認定取得のために作成資料は膨大な時間をかける必要があること、などです。機構は行き詰まっています。
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